出っ歯とは上の前歯が下の前歯よりも大きく前に突き出ている状態で、上顎前突とも呼ばれます。
お子さまが出っ歯であると気になる親御様は多いと思います。
出っ歯だとお口がポカン と開いてしまったり、転んで前歯をぶつけて歯が欠けてしまったりするともあります。
今回の記事では、出っ歯(上顎前突)になる原因や治し方について説明していきます。
■ 出っ歯になる原因
お子さまの出っ歯になる原因は癖による後天的なものや、お父様お母様からの遺伝によるものが考えられられます。
日頃の癖によって出っ歯になる原因を説明します。
- 指しゃぶり
- 爪を噛む癖・唇を噛む癖
- 頬杖
- 口呼吸
- 舌癖
指しゃぶり
指しゃぶりは親指の腹が上の前歯の裏側に当たり、上の前歯を前に押してしまいます。また、親指の背面を下の歯が噛むことによって、下の歯は内側に押されてしまいます。そのため、3歳以上になっても長期間指しゃぶりを行っていると、出っ歯になってしまいます。
指しゃぶりのもう一つの望ましくない傾向としては、前歯が噛まなくなる開咬(かいこう)になる場合もあります。 さらに、指しゃぶりの際に指を強く吸うことにより、頬が歯列を圧迫し、歯列の幅が狭くなる場合もあるので、注意が必要です。
爪を噛む癖・唇を噛む癖
爪や下唇を噛む癖も指しゃぶりと同じであり、上の歯を前に押してしまうので、上の歯は前方に傾斜してしまい出っ歯になる可能性があります。
頬杖
頬杖をすることにより上の前歯が押し出されてしまい、出っ歯になってしまう可能性があります。また、頬杖は顎関節への負担がかかってしまい、顎が痛くなったり、お口を開ける時にカクッと音が鳴ってしまったり、開けづらくなったりと顎関節症の発症のリスクが高まります。
口呼吸
歯並びはお口の周りの筋肉が均衡する場所に並びます。そのため、口呼吸で常に唇の筋肉が緩んでいると前歯が前に出やすくなってしまいます。
舌癖
通常舌は上あごの前歯の裏あたりにスポットと呼ばれる部位に舌の尖端がつきます。そのため、前歯には舌は当たりません。
しかし、唾液や飲食する際に舌が前方に出して飲み込む癖があるお子さまは常に内側から舌により前歯が押されてしまい、出っ歯の原因となります。
■ 出っ歯の予防
出っ歯の予防としては、上記にも記載させていただいた習癖による出っ歯がある場合には、習癖をしないでいただくように日頃から気をつけていただくことが重要です。
■ 子どもの出っ歯の矯正治療を開始するタイミング
小児矯正治療を始める一つの目安として、上下前歯4本が生え変わった頃 、6歳臼歯が生えてくる頃で、小学生2~3年生頃に相当します。しかし、小児矯正を開始する時期は一律ではなく、お子さまに合わせて最適な時期を見極めることが必要です。
■ 出っ歯の分類
出っ歯とは、上の前歯が下の前歯に比べて前に出ている症状ですが、4つのタイプに分類分けすることができます。
① 上あごが前方に位置している
② 下あごが後方に位置している
③ 上の前歯が前に傾いている
④ 下の前歯が内側に傾いている
精密検査で側方セファロレントゲン写真を撮影しどの分類かを分析します。①と②は歯列の土台となる骨格的な問題です。小児矯正の一番のメリットは、成長を利用して上下顎の位置関係の改善を図る事です。③と④は歯の傾きによる問題です。もちろん骨格的な要因と歯の要因が共に関係している場合もあります。
■ 子どもの出っ歯の治し方
出っ歯になる原因として考えられるものとして、
- 上顎の骨が前方に過成長している 骨格的な問題
- 下顎の骨が成長少ない 骨格的な問題
- 上顎の前歯が前に出ている 歯の問題
- 下顎の前歯が後ろにある 歯の問題
などが考えられます。
■ 上顎の骨が前方に過成長している・上顎の前歯が前に出ている (ヘッドギア)
上顎骨が前に過成長している場合と、上顎前歯が前に出ている場合には同じ装置を使用します。ヘッドギアという装置で、顎外固定装置の一種で、首に固定源を求めて上顎骨の成長抑制や、上顎の奥歯を後方に移動させます。奥歯が後方に移動させることにより、前歯を中にいれる隙間をつくっていきます。永久歯がすべて萌出すると歯を後方へ移動させることは困難になる場合があります。治療期間は使用状況や症状によっても変わりますが、約1~2年で通院頻度は月1回程度となります。お口の外に装置がでてくるので、基本的にはお家にいる時に使用していただきます。
■ 下顎骨の成長が少ない場合
下顎骨の成長が少ない場合には、下顎骨の成長を促進させてあげるFKO(エフ カー オー)装置を使用します。FKOは上下の歯で咬んで装着します。そのため、寝ている時に使用します。使用期間は成長促進の装置の為、長期になり2年ほど使用することもあります。通院期間は毎月の変化や痛みが出にくい装置であるため約2~3ヶ月に一度となります。
■ 下顎の前歯が後ろにある
下顎の前歯が後ろにある場合は指しゃぶりや下唇を噛む癖や爪噛み癖がある可能性があります。それらの癖により下の前歯が内側に押されることが原因と考えられるので、習癖を改善することをご説明します。
■ 子どもの出っ歯のデメリット
出っ歯の子どもの特徴として、上下の前歯に隙間があるので唇が閉じづらくなります。そのため口呼吸になり、虫歯・口臭のリスクが高まります。また前歯が出ていることで、転んだ際にぶつけてしまい、前歯が折れることや歯が抜けてしまうリスクもあります。ぶつけてしまった歯は、歯と骨が直接くっついてしまい骨性癒着してしまうこともあります。骨性癒着してしまうと歯は動かすことができなくなってしまいます。
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■ 子どもの矯正治療は行わずに大人になってから治療を行う場合
お子さまの時に治療を行わず、大人になってから治療を行う場合は、前歯を後ろに下げる隙間がないので、一般的には抜歯を伴うワイヤー矯正やマウスピース矯正の治療が必要になる事が多いです。
お子さまの矯正治療を行うことにより、土台となる骨の成長を利用して治療を行うことにより、抜歯をするリスクが減る可能性があります。
まとめ
お子さまの出っ歯になる原因として遺伝的な要因と環境的な要因があります。
出っ歯にならないように予防するためには、環境的な要因の一つ一つの癖をしないようにすることが大事です。
治療法はお子さまの状況に合わせた装置を選択することが必要であり、そのためには矯正の専門的な検査診断が非常に重要になります。
お子さまの矯正治療の最大のメリットは骨格的な問題点にアプローチすることができることです。そのためにも、もしご心配であれば一度矯正専門の歯科医院にご相談していただけたらと思います。
最後までご覧いただきありがとうございました。