歯科医院で「大人の歯がないです」と指摘されて驚かれた方がいらっしゃると思います。 乳歯がなかなか生え変わらなかったりしたらご心配になりますよね。
今回の記事では、大人の歯が生えてこない原因(先天性欠損歯の場合)と対応についてご説明していきます。
■ 先天性欠損歯(欠如歯)とは?
(青丸 先天性欠損部位 黄色丸 埋伏歯 )
(埋伏歯とは こちらに記載させていただいております。ご参考にしてみてください。)
通常ヒトの歯の本数は、乳歯で20本あり、永久歯で28本(親知らずを含めると32本)あります。
上のレントゲン写真の青丸の部位には本来永久歯の種となる歯胚(しはい)と呼ばれるものが確認できません。何らかの原因により歯胚ができない場合は、永久歯が形成されず、萌出してきません。
先天性欠損歯は乳歯でも確認されることがあります。乳歯から永久歯の歯胚が生じると考えられているため、乳歯がなければその後続永久歯はできません。しかし、乳歯があるにもかかわらず永久歯が欠如する場合もあります。
このことを歯科用語で「先天性欠如」「先天性欠損」と呼びます。
■ 先天性欠損歯の原因は?
先天性欠損歯がなぜ起こるのかというと、明確な原因は解明されていません。
原因として考えられていることとして、
- 遺伝によるもの
- 歯の発育期における栄養障害
- 薬物の副作用によるもの
- 感染
- 外傷
- 全身的な病気の影響
- 妊娠時の栄養不足
- 歯の退化現象
などがあります。
■ 先天性欠損歯の発生頻度、おこりやすい部位は?
先天性欠損歯は永久歯に発生することが多いです。
10人に一人の発生頻度で現れます。
部位としては、側切歯(2番目の歯)と第二小臼歯(5番目の歯)に頻発します。
また、上顎より下顎の方が起こりやすいと言われています。
■ 先天性欠損歯でのあることの問題点は?
下顎の第二小臼歯が先天性欠損歯である場合、乳歯の奥歯の方が後続永久歯より幅が大きいので理想的な噛み合わせにすることが困難です。
永久歯の側切歯が先天性欠損歯である場合、側切歯の部位に永久歯の犬歯が萌出してくる場合もあります。晩期残存した乳側切歯は予後が悪く、永久歯の側切歯より幅が小さいため審美的にも問題が出てくる場合があります。
■ 先天性欠損歯はどのように検査するのか?
歯科医院で一般的に撮影されるパノラマレントゲンを撮ることにより判断することができます。ご家庭で早期発見することは難しいです。なかなか乳歯が生え変わらない場合や、前から数えて7番目の歯(第二大臼歯)が生えてきているのに乳歯が残っている方は一度歯医者さんにご相談してみましょう。
定期的に歯科医院に受診しておくことが大切です。
■ 大人の歯が欠損歯の場合、その乳歯はずっとのこる?
通常乳歯が抜ける時は、永久歯が出てくるときに乳歯の歯根を吸収し歯根が短くなり、抜けます。そのため、永久歯が欠損している場合は乳歯の歯根が吸収されないので大人になっても残ったままになります。
しかし、乳歯の歯根は短く、自然に歯根が吸収してしまい20~30代で抜けてしまう方が多いのが実状です。
■ 先天性欠損歯の対応法とは?
- ブリッジ
- インプラント
- 入れ歯
- 矯正治療
- そのまま何もしない
乳歯が抜けた後に行う対応としては上記の選択肢があります。
ブリッジ
両端の歯を削って橋渡しした被せ物を装着します。固定式の被せ物なので、違和感は少ないですが、両端の歯を削らなければならないのが欠点です。
インプラント
歯の根となる金属を顎の骨に埋入し、その上に被せ物を装着します。固定式の被せ物のため、ブリッジと同じように違和感は少ないです。また、ブリッジとは違い、周囲の歯を削る必要がないことが利点です。しかし、手術が必要であり、また費用が高いことが欠点です。
入れ歯
ブリッジの両端の歯を削る必要や、インプラントのように手術がないので、身体に負担が一番少ない方法です。しかし、装置がほかの被せ物に比べて大きくなるので違和感は大きいことが欠点です。
矯正治療
乳歯の隙間をワイヤーなどの矯正装置を用いて閉じていきます。そのため、被せ物を行う必要がありません。しかし、矯正の治療期間が長くかかることが欠点です。
そのまま何もしない
抜けた乳歯の隙間を何もしないことはおすすめできません。両端の歯が隙間に倒れてきてしまい、かみ合わせが悪くなってしまいます。かみ合わせが悪くなってしまうと、奥歯の寿命がみじかくなってしまい、咬合力の負担が大きくなった歯は割れてしまう可能性もあります。歯が縦で割れてしまうと治療が出来ず最悪な場合抜歯になってしまうこともあります。
■ 6本以上の先天性欠損歯の方は、矯正歯科治療が保険適用になります
矯正治療は一般的には自費診療になりますが、厚生労働省が定めた特定の症状がある患者さまに限り健康保険が適用されます。2013年度より6歯以上の先天性欠損歯がある場合も保険適用となりました。保険適用される矯正歯科治療を行える医療機関は、厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長に届け出た保険医療機関のみとなります。浦安市にある新浦安カタヤマ矯正歯科は矯正歯科治療を保険で行える保険医療機関です。
まとめ
先天性欠損に関してはお痛みなどの自覚症状がなく、本人や保護者の方も気づかないことが多いです。
そのため、かかりつけの歯医者さんで定期健診を受けられることが大切になります。歯医者でレントゲン写真を撮影することにより、歯の生え変わりが順調か、顎の骨に異常がないか、歯の本数が足りているかなどを確認してもらいましょう。
定期健診を行っていると、生え変わりの予測や、問題があった場合に早期発見することができ、歯の健康を保つ方法をお話しさせていただくことができます。
最後までご覧いただきありがとうございました。