埋伏歯とは、歯の種(歯胚)が骨の中にあるのに、適切な時期に生えてこない歯のことです。子どもの歯が抜けて大人の歯が生えてこなかったり、乳歯がなかなか生え変わらなかったりしたらご心配になりますよね。また、お痛みなどの自覚症状がないので、歯科医院で偶然発見され指摘されることもあります。
今回の記事では、埋伏歯の 原因と対応についてご説明していきます。
■ 埋伏歯となる原因
永久歯が萌出してこない原因としては、以下の2つが考えられます。
- 埋伏歯
- 先天性欠損
先天性欠損に関しては
先天性欠損とは? こちらをご覧ください。
埋伏歯になってしまう原因としては以下の原因が考えられます。
- 顎骨が小さい
- 永久歯が出てくるスペースがない
- 歯胚(歯の種)の位置不良
- 骨性癒着・アンキローシス(歯と顎骨が癒着している状態)
埋伏歯とは本来生えてくるはずの永久歯が顎の骨の中に埋まったまま生えてこれない状況の歯をいいます。
埋伏歯は、過剰歯、犬歯(3番目の歯)、中切歯(2番目の歯)第二小臼歯(5番目の歯)の順で発生します。
発生率としては、3~8%と言われています。
■ 埋伏歯の治療方法
埋伏歯は痛みなどの症状がない場合もあるため、まずは治療が必要かどうか精密検査を行う必要があります。パノラマレントゲンやCTを撮影し、埋伏歯の方向や位置の確認を行います。
経過観察
精密検査の結果、自然萌出が期待できる場合には、経過観察をおこない、歯が自然に出てくるかを待ちます。経過観察中では、3~6か月ごとにパノラマレントゲンを撮影し、顎の中で歯の位置が変化しているかどうかを確認します。
晩期残存乳歯の抜歯し埋伏歯の萌出を促す
乳歯は、永久歯が萌出してくるときに乳歯の歯根を吸収して、自然に抜けます。しかし、乳歯が抜けずに口腔内に残っている場合、永久歯の萌出を妨げることがあります。その時には、奥歯が前に倒れないような装置を付けた後に、乳歯を抜歯する場合があります。乳歯を抜歯することで、埋伏歯が正常に萌出することを促すことを行います。
開窓術(埋伏歯の萌出を促す)
先行の乳歯が、う蝕(むし歯)や外傷によって早期に喪失した場合には、歯肉が線維化し硬くなり、後続の永久歯が萌出できないことがあります。その場合には、開窓術が行われます。局所麻酔を行い、歯肉を切開し、永久歯の歯冠を明示し、自然萌出を待ちます。
開窓牽引術(埋伏歯を引っ張り出す)
埋伏歯の方向がよくない場合には矯正の装置を使用して、牽引を行う場合があります。牽引する場合には、埋伏歯に矯正装置をつける必要があるため、手術によって歯冠をだす必要があります。
埋伏歯の抜歯
過剰歯や、親知らずなどの埋伏歯は抜歯する場合があります。また、埋伏歯が高い位置などにあり、開窓牽引ができない場合には埋伏歯を抜歯することもあります。
■ 埋伏歯をそのままにしておくとどのようなリスクがあるか?
埋伏歯を放置しておくと、その歯が生えてこないという問題だけでなく、その隣の歯の歯根とぶつかってしまい、隣の歯の歯根を吸収してしまう可能性があります。歯根が吸収してしまうと、その歯は長持ちしなく、最悪場合歯を抜かないといけなくなる可能性があります。
また、本来埋伏歯が生えてくる場所の隙間は両隣の歯が倒れこんでしまい、隙間がなくなってしまいます。倒れた両隣の部分のかみ合わせも悪くなる可能性があります。
まとめ
埋伏歯があると隣在歯の歯根を吸収することや、大人の矯正治療を行うときに動かす歯が埋伏歯にあたるリスクがある人は埋伏歯の処置を行わないと治療が行えない場合があります。
歯の本数が足りない方や、歯科医院で埋伏歯があるといわれたことがある方は、一度治療の相談をされることをおすすめします。
最後までご覧いただきありがとうございました。