拡大床とは歯列を広げてあげる取り外し式で、プレートタイプの矯正装置です。プラスティックとワイヤーとネジで出来ています。
お子さまの矯正治療でよく使用される拡大床とはどのような装置かご説明していきます。
拡大床の目的
近年 柔らかいものを食べる食生活慣が習慣化することにより、顎の骨の成長が不足し、歯が生えるスペースが減少しているお子さまが増えてます。隙間がないと歯が並びきれないため、デコボコの歯並びになります。検査診断を行い、歯列の拡大が必要と判断された患者様に拡大床を使用することにより、顎の成長を手助けしてあげることができます。将来的に叢生(そうせい:歯並びがデコボコの状況)が予測される場合に使用されることが多いです。
拡大床の構造
装置はプラスティックの部分とワイヤーのフック(クラスプ)と、プラスティックに埋め込まれているネジでつくられています。繊細な装置であるため、適切な使い方をしないと、プラスティックが破損したり、クラスプが折れたりする場合があります。
拡大床の使用方法
拡大床は取り外し式の矯正装置となっています。使用時間は歯科医師によって違いはありますが、基本的にはお食事と歯磨きのとき以外は使用しましょう。装置は手で必ず装着脱着をしてください。
真ん中にあるネジを1週間に1回回転させることにより、0.25㎜拡大されます。ネジを回すおススメの時間は寝る前です。寝る直前に拡大することにより、朝までに少しお口が馴染んでくれます。学校行く前に回すと、日中外すことがあるとなかなか馴染むまでに時間がかかる事があります。
拡大床のお手入れ方法
拡大床の大部分がプラスティックでできているため、煮沸消毒は装置が歪んでしまうため行わないでください。
ご本人の歯ブラシとお水で丁寧にお掃除してください。特にネジの部分の凹部に汚れがたまりやすいです。また、食器用洗剤できれいにして頂いてもかまいません。部分入れ歯の洗浄剤を使用すると拡大床が壊れてしまう場合がありますので、矯正装置用の洗浄剤を使用してください。当院ではリテーナーシャインをおススメしております。
使用しないときは必ずケースに保管しましょう。ティッシュペーパーなどにくるんで置いておくと、踏んで壊れてしまったり、間違って捨ててしまう方がいらっしゃいます。そのようなことが起こると再度作りなおさないといけない場合があります。
拡大床の使用時期
拡大床の使用する良い時期は、小児矯正治療の一般的な開始時期と同じで、前歯4本が永久歯で、後方の乳歯がまだグラグラ動揺していない時期が最適な時期です。拡大床はクラスプというバネで乳歯などの奥歯に引っかけて動かないように固定されています。そのため、奥歯の乳歯が生え変わりによってグラグラしたり、永久歯が萌出し始めてきた時期になると、歯にクラスプを引っかけることができなくなり、拡大床を使用することができなくなります。
拡大床が痛い場合の対応
拡大床のトラブルとして、主に下の装置の内側が歯茎とすれてしまい口内炎となる事が多いです。装置が使用できない期間が長くなると、拡大された歯列がもどってしまい、装置が入らなくなる場合があります。その際には一度装置をつけずに早めに歯医者さんに調整してもらいましょう。
拡大床の取り外し方
拡大床の取り外しは必ず手で行いましょう。 慣れてくると、装置を口に入れて噛んで装着される患者様がいらっしゃいます。噛んで装着されると装置が破損してしまうリスクが高いです。また、装着後に舌で取り外しを行っていたり、カチャカチャと遊んでいるとフックが金属疲労し折れてしまいます。修理できない場合には新たに装置を作り換えなければならず、装置代がかかってしまいますので、取り扱いには注意してください。
拡大床ではできない事
拡大床はどこまでも広げることはできません。また、奥歯を前後に移動させることはできません。デコボコや出っ歯などの歯並びの原因が幅の問題だけでない場合には治すことができません。
検査診断を行い、患者様の症状に合わせて治療装置を検討する必要があります。
拡大床は歯列を拡大することに特化した装置なので、デコボコの歯並びを拡大床だけで治療が完結できる方は少ないです。その後にワイヤーや他の装置を使用することにより、歯並びをきれいにしてきます。
歯並びでご心配なことがある場合にはまずは矯正専門の先生にご相談してみましょう。当院では初診相談でお時間を頂き、拡大床が有効かどうか、他の装置が必要かなど丁寧にご説明させていただきます。