口呼吸の方は健康面においても歯並びにおいても悪影響があります。本来呼吸はお鼻で行いますが、口呼吸の場合どのような悪影響があるかご説明していきます。
■ 口呼吸であるデメリット
■ 虫歯・歯周病・口臭
口呼吸で口が開いたままになると、口腔内が乾燥し唾液の自浄作用がうまく機能しなくなります。
そのため、虫歯菌や歯周病菌などの細菌が活発になり虫歯や歯周病になりやすく、歯の寿命が短くなってしまいます。
■ 風邪をひきやすい
鼻呼吸の場合、鼻の粘膜や鼻毛というフィルターを通ったきれいな空気がのどの方に行くので、外の空気が温められたり、ホコリなどの微細な物質が除去しているのですが、口呼吸の場合だと、外の空気が直接のどを通ります。その時に、のどにある免疫機能のある扁桃腺に当たります。これにより扁桃腺がダメージを受け、炎症を起こし風邪やインフルエンザなどのウイルスに感染するリスクが高まります。特に冬などの乾燥した時期に多いですね。
■ 歯並びが悪くなる
以前別の記事でもご紹介した(歯並びが悪くなる癖:参照)ニュートラルゾーンから口呼吸によって舌が外れることにより、舌と口唇の力のバランスが崩れ、歯並びが悪くなってしまう場合があります。
■ 口腔周囲の筋力の低下
常に口を開けている=舌も唇も脱力させている状態なので、当然唇周り舌と唇、どちらも筋力が落ちてしまいます。また、舌も本来あるべき場所(舌の先端が上の前歯の少し後ろ・スポット) から離れてしまい、低位舌という状態になります。 そうすると口周り(舌と口唇等)の力のバランスが崩れ、歯並びに悪影響を及ぼします。
■ 口呼吸でどんな歯並びに?
口呼吸のときに舌がどこにあるかによって歯並びが変わってきますが
舌が上の前歯を押している場合:出っ歯、すきっぱ
舌が下の前歯を押している場合:受け口、すきっぱ
上下の前歯を押している場合:開咬(前歯がかみ合わなくなる)
舌が下にある場合:上あごが狭くなり、臼歯部が反対咬合になる
といった悪影響があります。
さらには、歯並びが悪くなり正常な呼吸がしづらくなるという悪循環にもつながります。
■ 口呼吸になってしまう原因
鼻炎
花粉症などの季節性のもの、アレルギーなどの一時的なものもそうですが、慢性的な鼻炎を抱えていると常に鼻が詰まった状態になり、慢性的に口呼吸になります。のどの奥には扁桃腺というリンパ組織があります。この扁桃腺が肥大し、気道が狭くなり、口呼吸になっている方もいらっしゃいます。扁桃腺などの免疫組織は10歳ぐらいで成人の2倍となり、成長することにより小さくなります。扁桃腺が大きく、構造的に鼻呼吸ができない方は扁桃腺を切除する方法もありますが、ご心配の方は耳鼻科の先生にご相談してみてください。
歯並び
意外に感じる方も多いと思いますが、前歯が出ている歯並びの方は唇を閉じるときに力をぐっと入れなくてはならず、唇を閉じるのが難しい場合があります。
唇を開けている方が楽なので筋肉も弱くなり、自然と口が開き、口呼吸になってしまうのです。
口唇などの口腔周囲筋の筋力不足
唇を閉じておくだけの筋力がない場合、どうしても口がポカーンと空きっぱなしになってしまいます。このような筋力が足りない場合は筋トレを行い、お口を閉じておけるようにすること
=MFTが必要な場合があります。
口呼吸を見極める特徴
普段の習慣をご自身で改善するためには、気づくことから始めなければなりません。口呼吸した時の特徴として、口が乾きやすい、唇が乾き荒れている、お鼻が詰まっていて鼻呼吸ができない、無意識の時は唇が開いている、起床時に口が乾燥しの のど が痛いなどがあげられます。また、上の唇は常に乾燥しているため下唇と比較し白くなり、唇が厚くなる傾向があります。唇が乾燥するので、舌でなめるお子さまが多いです。また、上の前歯はいつも乾燥してしまいますので、お茶や紅茶などの茶渋が沈着している方もいらっしゃいます。
アデノイド顔貌という言葉を聞いたことがありますか?お鼻の奥にあるアデノイドという免疫性の組織が腫れることにより気道が狭くなり鼻呼吸ができなくなり口呼吸になります。そのまま長期にわたって口呼吸が続くと唇の力が弱まり、舌癖が引き起こされ、ロングフェイスになります。下顎の成長が阻害されて、横から見たときに下顎が小さく後退した顔貌(アデノイド顔貌)になる可能性があります。
いかがでしたか?
意外と口呼吸のデメリットが多くてびっくりされた方もいらしたのではないでしょうか?
口呼吸は見た目だけではなく健康状態、そしてお子様だけではなく、大人の方にも影響を及ぼします。対策としては
・耳鼻科で鼻炎を治療する
・矯正治療をし、歯並びを改善する
・MFT(口腔周囲筋を鍛えるトレーニング)を行う
・意識して唇を閉じるようにしてみる
です。
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