乳歯の受け口について|浦安市の矯正歯科専門医院・新浦安カタヤマ矯正歯科
2021.12.01

乳歯の受け口とは、上の歯に比べて下の歯が前に出ているかみ合わせです。「反対咬合」(はんたいこうごう)や「下顎前突」(かがくぜんとつ)といわれています。

乳歯列期は2歳から6歳ぐらいまでの時期で、乳歯の受け口は永久歯の時に自然に治ることもあることから、経過観察をしましょう、と歯医者に言われた方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、受け口は上顎骨の成長を抑制し、下顎骨の成長を促進してしまう可能性があります。成長が進むにつれて、骨格の歪みが大きくなるので、その前に早期初期治療を行いリスクの軽減する必要があります。

■ 乳歯の受け口の見分け方

お子さまに『噛んで』といっても下顎をすごく前にだして本来の位置でない場所で咬む場合もあります。そのため、食事の時や仕上げ磨きをしている時などお子さまに意識させないようにしてどこで咬んでいるのかを確認しましょう。

ご両親が気づく場合や、かかりつけの歯医者、3歳児検診の際に指摘される場合もあります。

乳歯の受け口は治した方がいいのか、様子を見ていいのか、治療開始するタイミングはいつがいいのかについて、この記事でお伝えしたいと思います。

■ 受け口になる原因としては、

  • 骨格の問題によるもの………上顎が後方にある場合や、下顎が大きい場合
  • 歯並びによるもの………前歯で最初にあたっているが、奥歯では噛めないので下顎を前に出して噛んでいる場合
  • 癖によるもの………指しゃぶり口呼吸、頬杖、舌癖、唇をかむ癖がある場合

に分けられます。日本人の受け口の発生率は約5%と言われており、比較的多くのお子さまが受け口で悩まれています。

■ 乳歯の受け口は早めに治療を行った方がいいのか?

お顔の形はすべてが遺伝的に決まっているのではなく、環境的な要因も関係しています。

1~3割の受け口のお子さまは前歯が永久歯に生え変わる時期に自然治癒することもあります。しかし、7割以上の受け口の方は自然治癒せず、下顎の前歯によって上顎の成長を抑制したり、下顎がズレて咬んでいるお子さまは下顎の成長方向が前方や側方に偏位する可能性があり、お顔が歪む可能性があります。

他にも、前歯で咬み切ることが上手にできないので消化不良を起こす可能性や、「さ行」「た行」のように歯と舌が接触して発音を行う言葉に影響がでることもあります。

そのため、受け口のお子さまは早めに治療を行い、上顎と下顎の位置を整えることにより予防することが重要になります。

■ 乳歯の受け口の治療を開始するタイミングは

すべての乳歯が生えそろうのが3歳ごろであり、その時期なるとお子さまの噛む位置が安定してきます。そのため、3歳以上でお子さまの性格なども考慮し、治療を開始される時期をご検討されることをお勧めします。

乳歯の受け口を治す装置(ムーシールド)

乳歯の受け口を治す装置としてムーシールドという装置があります。就寝時にお口の中にいれるマウスピースのような装置です。

仕組みとしては、食べ物を飲み込むときに、舌を上顎につけるのが正常ですが、受け口の方は飲み込むときに下顎の前歯についています。そのため、下顎の前歯が前に押されてしまいます。ムーシールドを装着すると、舌は上顎につきます。そのため、上顎が前に成長します。

このように、乳歯の受け口を治すためには、舌が正しい位置に行くように癖づける必要がありますが、ムーシールドはそれを助けてくれます。
またムーシールドをすると、上くちびるが上の前歯に当たらない構造の為、上くちびるが前歯を後ろに押す力を排除することができるので、上顎の成長を促します。

ムーシールドの治療期間としては1年以内を目安としています。もし1年使用しても改善が認められない場合は違う装置に変更するなど検討します。 また、早期初期治療を行って乳歯の受け口が改善されたとしても、永久歯の生え変わりなどで反対咬合が再発する可能性もあります。そのため、乳歯の受け口が改善された後も定期健診で経過観察されることをおすすめします。

■ 長所短所まとめ

長所

  • 3~5歳から始めることができます。
  • 取り外し式の装置で、痛みが少ない装置です。
  • 取り外しが可能なので、歯磨きに支障がありません。
  • 夜眠っている時・テレビを見ている時などに使用する装置で、お子さまに対しての負担が少なくすみます。
  • 通常の矯正治療に比べると期間が短くてすむ場合もあります(通常1年以内)。
  • 小児矯正に比べて費用が抑えられます。

短所

  • 骨格性の不正咬合などムーシールドが適応にならないことがあります。
  • 年齢によっては装置を使っていただくことが難しいことがあります。
  • ムーシールドによる治療で受け口を治した後に、成長途中で戻る可能性があります。

以上の長所欠点を踏まえて、乳歯列期の受け口の矯正治療を開始した方がよいかについても、来院時にかみ合わせの状態に応じて、詳しくお話させていただきたいと思います。

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