歯並びが悪くなる原因は色々な要因があります。歯の大きさなどは遺伝しますが、デコボコや出っ歯などすべての不正咬合が遺伝するわけではありません。
環境的な要因である普段の癖なども大きく歯並びに影響します。
今回は、歯並びが悪くなる日々の癖についてご紹介します。
■ 骨格や歯並びを悪くする癖とは
歯並びや顎の骨に影響を与えるような注意すべき癖とは以下のものがあげられます。
指しゃぶり
指しゃぶりは上の前歯を前に押してしまい、下の前歯には内側に押す力がかかります。そのため出っ歯になる傾向があります。下の前歯にとっては内側に倒れてしまうので、前歯にデコボコが生じます。また、指しゃぶりは開咬(上下の前歯で咬めない状態)になるリスクが高いです。
唇をかむ
上の前歯で下唇をかむ癖があると、指しゃぶりと同様に、上の前歯が外に押されてしまい、出っ歯や下の歯並びを悪くしてしまいます。
逆に下の前歯で上唇をかむ癖があると、うけ口を引き起こす原因となります。
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口呼吸
口呼吸を習慣的にしている方はお口の周りの筋肉(口輪筋)の力が弱く、口を閉じて歯を適切な位置に抑える力がかかりません。そのため、いい位置から歯が動いてしまい、歯列が乱れてしまいます。お子さまの口が常にポカンと空きっぱなしの場合は口呼吸を行っている可能性があります。
呼吸は通常お鼻で行います。鼻呼吸の場合、唇は閉じているのでお口の中は唾液により保湿されています。唾液にはお口の中の汚れを洗い流す働きや、免疫(細菌やウイルスと戦う)働きがあります。そのため、口呼吸の方は、お口の中が乾燥してしまい唾液が少なくなります。唾液の働きがなくなることにより、口腔内細菌が繁殖しやすい環境になり虫歯や歯周病、口臭の原因になります。また、お鼻で呼吸することにより、キレイな空気が喉を通過します。特に冬場などは空気を上顎洞(お鼻の横にある空洞)で温めたものが喉を通ります。しかし、口呼吸の場合は直接喉に空気が当たってしまい、扁桃腺やアデノイドが乾燥し炎症しやすくなります。口呼吸をやめることで風邪やインフルエンザの予防にもつながります。
また、口呼吸の方の舌の位置は下の歯の裏側にあることが多いです(低位舌)。本来舌は上の前歯の裏側にあり、上の歯並びを内側から外に押し、歯列を拡大してくれます。しかし、低位舌の場合上の歯列の幅は広がらず、逆に下の歯列幅が広くなり奥歯の噛み合わせがずれてくる場合があります。
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舌を突き出しだす癖(舌突出癖)
舌で歯を前に押したり、前歯で舌を噛んだりする癖があると、出っ歯や開咬になる可能性があります。舌の動かし方に関しては無意識に前に出していたり、下の歯についていたりする場合には、舌のトレーニング(MFT)などを行い、正しい動かし方を身につける必要があります。
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頬杖をつく
勉強やデスクワークをしている時などに頬杖をしている方も注意が必要です。頬杖の癖があると、歯列に横からの力がかかってしまい、歯列が非対称になったり、下あごが変形してしまったりと非常に大きな悪影響が生じる危険性があります。
横向き・うつ伏せでねる癖
いつも同じ横向きやうつ伏せで寝ている方も注意が必要です。お顔の正面や側面に異常な大きな力が加わることにより、歯並びが歪むリスクがあります。
歯ぎしり
集中している時やストレスがかかっている時に歯ぎしりをしている方は非常に多いです。無意識に行っているので自覚症状がない方もいます。歯ぎしりは歯に非常に強い力がかかってしまい、奥歯が内側に倒れてくる場合や、力に歯槽骨が耐えれず吸収してくる場合もあります。また、常に歯ぎしりをしている方は歯が摩耗して短くなり、かみ合わせが深くなります。顎に対しても非常に強い力がかかってしまうので顎関節症になるリスクもあります。
よく噛まない
よく噛まない、柔らかい食べ物しか食べない方は歯槽骨に適切な力が加わらず成長期に骨が正常に成長しません。歯槽骨に適切な咬合力が加わらない事により、歯列が狭くなってしまい、歯が並ぶ隙間が不足してしまいます。そのため、デコボコが生じたり、出っ歯になったりと歯並びが悪くなる可能性があります。好き嫌いせず、硬い物もちゃんとバランスよく摂るように心がけましょう。
悪い姿勢
ご飯を食べる時には、たくさんの筋肉を使用し下あごや頬を動かして食べ物を小さくします。しかし、姿勢がよくないと体のバランスが崩れ、筋肉のバランスが崩れることにより片側だけで咬んだり、歯列に左右で異なる力が加わります。そのため左右非対称の歯並びになりかみ合わせが悪くなります。
歯周病
歯周病は癖とは違いますが、歯周病は歯根が入っている歯槽骨が下がってしまう病気です。歯周病になると歯が動揺し不安定になります。その不安定な歯に、咬合力やくいしばりなどの力が加わることにより歯並びが崩れてしまいデコボコになります。歯槽骨が下がってしまう原因は歯周病以外にも、特定の歯に異常な力が加わる事や、歯が横に押されるなど咬合性外傷もあります。歯周病や咬合性外傷がないかは歯医者さんで確認してもらいましょう。
■ 歯が並ぶ場所
歯は、唇や頬などのお口の外側からの圧力と、舌の裏側からの圧力の力が中立する場所に並びます。
その部位のことを「ニュートラルゾーン」や「筋圧中立帯」といいます。
そのバランスが取れていないと、歯はいい場所に並ばなかったり、デコボコが生じたりします。
頬の力が強いと歯列は狭くなり、唇(口輪筋)の口唇圧が強いと前歯は内側に傾斜し、歯が並ぶ隙間がなく叢生となります。
逆に、舌の力が強く、唇が常に開いている場合は、前歯が押されてしまい、すきっ歯や出っ歯の原因となります。
まとめ
日頃何気なく行っている癖により、歯並びが悪くなる場合があります。まずは、そのような癖があるかを知ることが大切です。お子さまが何かに集中している際に、悪習癖がないか確認してみてください。もし悪習癖がある場合は、早期に対応することにより歯並びの悪化を予防することができるかもしれません。
歯並びに関しても、お子さまの段階で早めに矯正治療などの対応することにより、歯並びが悪くなるのを予防し、機能的でよい歯並びに改善することが可能きます。当院では、舌のトレーニングなども積極的に行っておりますので、ご心配のある方は一度当院にご相談にいらしてください。
最後までご覧いただきありがとうございました。