DOCTORʼS BLOG

初診相談でお話をしている時に、キレイな横顔にしたいとご希望される患者様が近年増加しています。矯正歯科治療はかみ合わせをよくする治療ですが、同時に口元を美しくすることも重要な治療目標です。
きれいな歯並びや、整った口元の審美的な指標として「Eライン」や「スマイルライン」があります。

今回の記事では、横顔の分析や「Eライン」や「スマイルライン」についてご説明していきます。
矯正歯科治療を始める前には精密検査をします。その中に「セファログラム（頭部X線規格写真）」があります。側方（横顔）と正面の2枚のレントゲン写真のことです。

側方セファログラムは、矯正治療において重要な役割を担います。セファロ分析によって歯の角度や上下顎の位置関係など、歯と骨の関係のバランスをみることができます。また正面セファログラムは眉間から鼻中隔をむすんだ「正中線」を把握し、正中線に対する顎、および顔のゆがみを分析します。

■　横顔のフェイスタイプの分類

セファロ分析によって、横顔のかたちを3つに分類することができます。これを顔貌型（フェイシャルプロファイル）といいます。

・コンベックスタイプ（凸顔型）
→上顎前突や下顎後退（出っ歯）の方によくみられる。
・ストレートタイプ（直線型）
→理想的な側貌として最も求められる。
・コンケイブタイプ（凹顔型）
→下顎前突や上顎後退（受け口）の方によくみられる。

矯正治療では、2つ目のストレートタイプを目指して治療計画を練っていきます。
コンベックスタイプや、コンケイブタイプに当てはまる場合、その原因が歯にあるのか、骨にあるのかをセファロ分析でおこない、治療方針を決定していきます。

これらはあくまでも歯科医師がレントゲン撮影をし、セファロ分析することで判明する分類です。これからご紹介するのは簡単にセルフチェックできる、顔貌をみるための目安となるものですので、ぜひ参考にしてみてください。

■　「Eライン」とは

お顔を真横から見た時の、鼻先と顎先をむすんだ線のことを「Eライン」、または「エステティックライン」と言います。Eラインは、横顔の美しさを測る審美的な目安として用いられます。

1950年代にアメリカの矯正歯科医師ロバート・リケッツが提唱した指標で、口唇の先端がEラインの内側にあると、美しい横顔であるというものです。

しかし、アメリカ人と日本人では骨格が違いますので、基準も変わってきます。
日本人にとって平均的なEラインは、口唇の先端がEラインに触れるか少し内側にあるくらいと言われています。

Eラインはセルフチェックしやすいこともあり、広く知られている審美的目安のひとつであると思います。
定規を用いて鼻先と顎先に当てていただくと、すぐにチェックすることができます。

あくまでも横顔の美しさの目安ではありますが、歯並びとも関係があるといえます。出っ歯（上顎前突）や口ゴボ（上顎前突、上下顎前突）、受け口（下顎前突）の傾向があると、口唇の先端がEラインより大きく内側、または外側にある場合が多いのです。

Eラインの改善を動機に、矯正治療を検討される方も増えているように感じます。
歯並びや噛み合わせの改善によってEラインの改善、横顔の美しさを獲得できる可能性があります。

上の前歯を後ろに下げることによりEラインは改善します。上の前歯を下げるためにはマウスピース型の装置やワイヤー矯正を用いて歯を動かしていきます。前歯を後ろに下げるためには隙間がないとできないので、歯を抜歯して隙間を作ったり、臼歯を後ろに下げて隙間を作ります。抜歯をするか非抜歯で矯正治療ができるかは、患者さまの状態によって変わってきますので、まずは精密検査及び診断をしたのちに、診療を行う必要があります。

■　「スマイルライン」とは

口角を上げて笑った時の、上の前歯の先端をむすんだ線のことを「スマイルライン」といいます。Eラインは横顔の美しさの目安に対し、スマイルラインは正面からの顔貌に対する美しさの目安のひとつです。
スマイルラインが、笑った時の下唇のゆるやかなカーブと同じように沿っていると、明るい印象の笑顔になると言われています。Eラインと同様に簡単にセルフチェックすることができます。
歯並びのガタガタ（叢生）はスマイルラインが乱れてしまう原因のひとつです。マウスピース矯正やワイヤーで治療することにより、より素敵な笑顔になれるでしょう。

矯正歯科治療でよい歯並び、噛み合わせを獲得することが、美しい横顔や明るい笑顔を導き、コンプレックスを解消したり、より自分に自信を持つことができたりする可能性があります。まずは矯正専門の先生に相談してみませんか？