矯正治療をする上で歯は大事になりますが、それ以上に大事なものが歯槽骨という骨です。
歯は歯槽骨と言われる骨に根っこが入っています。その歯槽骨は上では上顎骨、下では下顎骨にあります。上顎骨は顔面頭蓋と呼ばれる頭の骨の一部であり、下顎骨は顎関節という顎の関節を介して頭蓋骨につながっています。
これらの骨は生まれてから思春期を過ぎるころまで成長発育してサイズが大きくなるとともに形を変えていきます。
今回は上顎骨、下顎骨の成長・発育について説明していきます。
上顎の成長について
上顎骨は鼻上顎複合体と呼ばれ、いくつもの骨が貼り合わさってできています。
そしてそれらの骨たちは縫合という骨の貼り合わせにより構成されています。
上顎骨の上方は前頭骨、横は頬骨、後ろは蝶形骨翼状突起に接してそれぞれの骨の間に縫合と呼ばれる結合部があります。また上顎骨は正中にも縫合があり、左右に分かれています。
上顎複合体の成長の特徴
- 上顎骨が頭蓋骨と接している縫合部で骨が添加され、上顎骨全体が前下方に移動していきます。
- 上顎結節と呼ばれる奥歯の後ろ側の骨が添加されることにより前後的長さと幅の増加が起こります。
- 上顎骨が前下方に成長するに伴い、その前方の表面ではリモデリングが起こり、骨吸収が生じます。つまり、上顎骨の前方表面のほぼ全面では骨の付加ではなく、吸収が起こっているのです。
- 上顎の成長は10歳ごろまでに完了します。
矯正治療をする上で一番重要なことは、上顎骨の成長はお顔の成長に影響し、お顔の幅、高さ、及び深さについて治療が出来るのは10歳ごろまでいうことです。
下顎骨について
頭蓋との間に関節を有する骨で、一つの骨でできています。
・下顎頭では軟骨性の成長と添加性の成長が行われています。軟骨性の成長とは下顎頭の軟骨が骨に置換されることで骨が大きくなり成長します。下顎頭の添加性の成長により後上方に移動します。結果として下顎は下前方に押しだされたように成長していきます。
下顎骨の成長の特徴
- 下顎枝は主に後方と側方に成長します。よってエラがはってきたように見えます。
- 下顎骨体は長さと幅が成長します。
- オトガイも徐々に突出してきます。
- 下顎骨の成長時期は第二次性徴期に合わせて起こります。
矯正治療をする上で重要なことは、下顎骨は身長が伸びる時期と同じ時期に成長します。つまり、上顎の成長よりも遅く始まります。
以上のことから上顎骨と下顎骨で成長の時期、成長の様式が全く異なることがわかると思います。矯正治療をする上で土台となる骨の成長を把握することはとても大事で、お子様の治療の場合は特に重要になってきます。上顎が小さい場合は上顎を広げる必要がありますが、その場合は10歳までに治療を行わないといけません。10歳を過ぎてしまうと上顎の成長は止まってしまい、上顎を広げることが出来なくなってしまいます。また、下顎の成長は身長が伸びる間はずっと成長しています。なので、身長が伸びている間は、下顎に関しては成長の経過を見つつ治療していく必要があります。
治療のタイミングをご自身で判断するのは難しいと思います。当院では、初診の相談は無料となっていますので、治療の時期や治療が必要なのかなどで不安に思われている方は、ぜひ一度ご相談にいらっしゃってください。お待ちしております。